最近、AIO(AI Optimization)やLLMO(LLM Optimization)という言葉を目にしたり、話題にしたりする機会が明らかに増えました。
GA4のデフォルトチャネルグループにも生成AI経由の流入を区別する「AI Assistant」ができ、検索者の行動そのものが変わってきたことを実感します。
とはいえ「何をどう測ればいいのか」がまだふわっとしていることも多い印象なので、自分なりに整理した考え方をまとめておきます。
AIによる概要にはどう表示される?
Googleの検索結果に表示される「AIによる概要」を見ると、AI検索での見え方がSEOのそれとは別物だとわかります。
AIによる概要は生成された文章の中にブランド名がさらっと出てきたり、文中や末尾に出典リンクが添えられたりします。しかも、名前だけ出て自社サイトへのリンクはない、逆にリンクは張られているのに文章上は名前が出てこない、といったことも普通に起きます。
用語解説
AIO / LLMOでよく出てくる「メンション」「引用されたページ」「ソースとなったページ」について解説します。
メンション
AIが生成した回答の中に、ブランド名(会社名や製品名)が言及されていることを指します。
「AIがユーザーにブランドの存在を伝えているか」を測る指標で、リンクや出典表示がないことがあります。ユーザーがWebサイトをクリックせずAIから直接答えを得るようになる中、ブランドメンションは認知してもらうための重要な手段になっています。
引用されたページ
AIが生成した回答の中で、特定のページ/ドメインが「引用元」として明示されていることを指します。回答本文中にインライン表示されるリンクがこれにあたります。
AI経由でトラフィックが発生しうるかどうかにつながる指標です。
ソースとなったページ
AIが回答を生成する際に参照するWebサイト全般です。これらのソースが、ブランドがAIでどう表現されるかに影響するとされています。
「引用されたページ」と「参照はされたが引用として提示はされなかったページ」があります。AIは参照したすべてのページを引用に利用するわけではありません。
この3つを分けて見ないと、「引用されているから見えている」と思い込んで、実は名前が出ていない・実は自社サイトに繋がっていない、というケースを見落とすことになります。
参考情報
ブランドが登場したように見える4パターン
同じ「AI回答にブランドが出た」ように見えても、メンションと引用の組み合わせで4パターンに分かれます。
| パターン | メンション | 引用 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 両方あり | ○ | ○ | 名前も出て、リンクも自社。もっとも望ましい状態で、認知とトラフィック獲得を両立できます |
| メンションのみ | ○ | ✕ | 名前は出るものの、根拠として引用されているのは他サイト(レビューサイトや比較記事など)。認知はあってもトラフィックは流れず、他者の解釈で語られるリスクを負います |
| 引用のみ | ✕ | ○ | 自社ページが情報源として使われているのに、回答本文にブランド名が出てきません。コンテンツは「消費」されていても認知にはつながらないパターンです |
| どちらもなし | ✕ | ✕ | 完全な機会損失です |
「引用されているから見えている」と思い込むと、メンションのみ・引用のみの2パターンを見落としてしまいます。メンションと引用は別軸で計測しないと、AI検索での本当の存在感は測れません。
AIO / LLMOの指標はどう評価すればいい?
AIOの指標は「量」「質」「相対」の3つで考えると整理しやすいです。
いきなりメンション数だけを追っても、それが良いのか悪いのか判断がつきません。3つの層をセットで見て初めて、意思決定に使える情報になると思います。
量の評価
「どれだけ登場しているか」です。メンション数・引用されたページ数といった基本指標に加え、対象プロンプト数に対する出現率や引用率、ブランド全体の露出を示すカバレッジなどがここに入ります。
自社が「そもそもAIの回答に出てきているか?」を把握する見方です。
質の評価
「どう登場しているか」です。好意的か中立か否定的か、どんな属性(価格・品質・対応など)で語られているか、回答の中の何番目・冒頭か末尾かという位置、そして「強く推薦されている」のか「軽く触れる程度」なのかという役割まで含みます。
量が横ばいでも、質が改善していれば購買行動には効いてくることが多く、量だけを見て安心しないための見方です。
相対の評価
「競合や過去と比べてどうか」です。自社と競合の言及シェア、特定のLLMが自社に言及する確率、自社の過去との比較などが該当します。
相対の評価が一番経営判断に直結する部分です。競合に対して勝っていても、市場全体が縮小していれば意味がありませんし、逆に絶対数が少なくても業界内での相対的な立ち位置が良ければ評価は変わってきます。量→質→相対の順に見ていき、最後に「どこに投資するか」を決める、という流れがしっくりきます。
AIO / LLMOの数字を読むときに注意することは?
AIO / LLMOの数字は、SEOの感覚のまま読むとミスリードしやすい4つの特性を持っています。
再現性がない
同じプロンプトを2回投げても同じ回答が返ってくるとは限りません。順序も引用ページもメンションも変わるので、厳密に計測したい場合、1回の観測で結論を出すのではなく、複数回かつ継続的に計測して、平均値やトレンドで判断する設計が必要になります。
プラットフォームで挙動が根本的に違う
主要プラットフォームでも挙動が根本的に違います。ChatGPTはbrowsingの有無で引用挙動が大きく変わりますし、Geminiは引用元が出てきにくい、といった構造的な違いがあります。プラットフォームを合算した平均値は、こうした差を隠してしまいます。
「検索ボリューム」に相当する需要データが存在しない
どのプロンプトが実際に何回使われているかの正確なデータは、どのプラットフォームも公開していません。ツールが出す「Monthly Audience」的な数値はあくまで推定値であり、方向性のシグナル程度に扱うのが安全だと思います。
クエリタイプで出現構造が変わる
情報型(「〜とは」「〜のやり方」)は引用が多くメンションが少なく、おすすめ型は逆にメンションが起きやすい傾向があるようです。クエリの意図別に分けないと、「引用は多いのに指名検索が増えない」といった現象の原因が見えてきません。
AIO / LLMOの数値をどう設計して読めばいいのか
数字を出すこと自体はツールを使えば簡単ですが、「その数字が何を意味するか」を設計することがより難しくなっているように感じます。
絶対値ではなく相対値で見る
「メンション18件」という数字だけでは良し悪しがわかりません。競合比較・業界中央値との比較・自社の過去比の3軸で相対化して初めて意味を持ちます。
単月スナップショットではなくトレンドで見る
AI回答は日々変動するため、1回の観測だとノイズと本質の区別がつきません。時系列で、上昇/横ばい/下降のトレンドを追う必要があります。
プロンプト単位で追う
ドメイン全体のスコアはあくまで集約された数字です。実際の改善アクションは「どのプロンプトで負けているか」に紐づくので、プロンプトとプラットフォームのマトリクスで管理するのが実務的だと思います。
外部データと突き合わせる
Googleアナリティクスでもチャネルグループ「AI Assistant」ができ、サイト内での行動を追いやすくなりました。どれだけ引用されたか、表示されたかだけを追うのではなく、指名検索数やサイト内行動といった別ソースと突き合わせないと、事業に結びつかない指標になってしまいます。
注意
ここまで整理してきた指標や考え方以外にも「まだ解決されていないこと」があります。
2026年7月時点では、実際のクエリログはどのツールでも取得できないため、合成プロンプトに頼らざるを得ません。
また、Google AI Overviews経由のトラフィックはGA4上で通常のオーガニックに紛れて分離できませんし、ClaudeやGeminiのアプリなどリファラが飛ばないケースも多く、GAで計測できているAI経由のセッションは実際の一部でしかありません。
計測方法と関係はありませんが、モデルのアップデートで一晩でブランドの見え方が変わることも十分にありえ、時系列の連続性が保証されているわけでもありません。
数値を報告するときは、こうした制約を添えておくことで、過剰な解釈を防げるのではないかと考えています。
まとめ
今回は、AIO / LLMOの計測・効果測定について、用語の整理から評価軸、押さえておくべき特性や設計までをまとめました。
ツールを使えば、数字を出すこと自体は難しくありませんが、「メンション」「引用」「ソース」を分けて捉え、量・質・相対の3つを意識して読む、という設計をしないと、事業判断に使える指標にはならないと感じています。まだ未解決の課題が多い領域なので、現時点の数字は絶対的なものではなく、方向性のシグナルとして扱うくらいがちょうどいいのかもしれません。
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